4人の力

冷えますなー。今回も懐メロ。

f:id:nezuminofukuro:20181210141813j:plain

ex-Plow Unitedなのにあんまり知名度がない、米国デラウェア州ウィルミントンのバンドPower of IV。Plowのwikiにも情報が載ってない。でもPlowが好きな人が知らなかったらもったいないと思う。1997年にPlowが解散したあと、ドラムのSeanさんがNinja AttakのDanさんやBrendanさんらと結成したのがこのPower of IV。どうやらSeanさんはNinja Attakのメンバーが通う高校の数学の教師だったようだ。おたがいの年齢が近いとはいえ、先生と生徒がバンドを組むなんてめずらしいよね。2002年までの活動期間でアルバムを2枚残してるけど、たぶん2ndアルバムはフィジカルではリリースされてない。Bandcampでどちらも視聴・ダウンロード可能(もうひとつ『4 song Creep EP』ってのもあるけど、これはなに?)。

 

1stアルバム『Walking Distance』は、Ninja AttakとThe Crashのスプリット(なんでわしはこれ売ってもうたんや…)を出していたSuburban Legend Recordsより1999年にリリースされた。基本的にはPlowのスタイルを踏襲したキャッチーながらハードに疾走するサウンド。まんまPlowな曲もある。ただPower of IVはもっとエモーショナルやね。雰囲気的にThe Insurgentにかなり似てる。しゃがれたボーカルの掛けあいと合唱。そこに絡むきらめくギターの妙。突き進む激しさとは裏腹にどこかやるせなさも感じさせるメロディー。パワフルなドラムで始まる1曲目の"Ride On!"を聴くと走りだしたくなるし、3曲目"Porchlight"のイントロを聴くとなぜかMinority Blues Bandを思い出してしまう。叩きつけるようなハードコアの曲あり、郷愁を誘うようなミッドテンポのエモい曲ありで、なかなかメリハリのある内容になってる。

 

2ndアルバム『A Slight Rebellion Off Madison』は、2001年に録音されたものの、おそらくデジタルリリースのみ。何年前か忘れたけど、Power of IVのギター/ボーカルだったDanさんのレーベルMadison Undergroundのサイトからダウンロードして初めて聴いたんだった。で、2曲目の"Meggers"を聴いたときになんか聞き覚えあるなと思ったら、Plowの編集盤CD『The Dustbin Of History』の29曲目に収録されてる曲だと気づいた。この曲は、1998年にPlowが一時的に再結成したときに録音された曲とのこと。Seanさんがつくった曲であり、『The Dustbin Of History』に入ってるバージョンはSeanさんがメインで歌ってるらしい(ギターも弾いてるという)。Plowが本格的に再結成して2013年に出した4thアルバム『Marching Band』にもアレンジを変えて再録されてる。ぼくはこの曲がめっちゃ好きやねん。Plowの曲のなかでいちばん好きかも。飛び跳ねたくなる。Power of IVの2ndアルバムは前作よりサウンドプロダクションが向上して、勢いはちょっと抑えめかもしれないけど、円熟味は増したと思う。ex-Plow Unitedという肩書きなんていらんと言わんばかりに。曲によっては、The Insurgentにくわえ、LattermanやExplosivo!などロングアイランドのメロディックパンクとも共通項というか同時代性を感じさせる。

Power of IV解散後、DanさんはEndless Mike JamboxやTit Patrol、The Headiesなどで活動。Seanさんはいくつかのバンドに参加したあと、2011年にPlow Unitedを再結成。そして去年からオレゴン州ポートランドAbolitionistに加入。 なんか意外だった。てっきりデラウェアペンシルバニア周辺に住んでると思ってたから。でもけっこう前からオレゴンのコミュニティ・カレッジの数学の講師になってたのね。どうせ教えてもらうなら、Seanさんみたいな人に教えてもらったら、ぼくの数学嫌いもまだマシになってたかしら。