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毎度個人的に気になったものを取り上げてるだけだけど今回もそうです。
もう今年も終わるっちゅうことで、前々からどっかのタイミングで取り上げれたらと思ってたバンドをいくつかピックアップしてみた。
Husker DuやDescendentsなどから影響を受けた90年代メロディックパンク的なサウンドを鳴らす現行の若手もしくはベテランバンド、という感じになってるかもしれない。
北アイルランドのベルファストのBelwood。メンバーはけっこう若いっぽいんだけど、影響にHusker DuやDescendentsの他に初期Green DayやFarsideにBig Drill Carといったバンドを挙げるなどかなり渋いところを突いてくる。2019年にデビュー作を2つ発表しているが、そのうち下に貼った音源とは別の2曲入りシングルが東京のNo Souls Savedというレーベルからカセットテープで出てる。
アメリカのミネアポリスを拠点とする8 Year Weight。このバンドは結成が1994年とかなり前なんだけど、2018年になって25年近くに及ぶ来歴における念願の初音源である1stアルバムをリリース。そういった背景は後から知ったわけだが、アルバムで聴かせてくれるリアルな90年代メロディックパンク/ロックはどうりで若手とは思えない。あと天下取ったろかってくらいジャケのバンドロゴもでかい。
イタリアのラ・スペツィア出身のThe Seventy5。20歳前後の若者たちが2016年に結成。デビュー音源では初期Green DayおよびLookout!的なポップパンクをやっていたが、次作となる12インチではHukser Du的なギターやDescendents的なベースなんかも取り入れたメロディックサウンドへと移行。これがまた自分みたいな人間にとっては良き塩梅。今後このスタイルに落ち着くかはわからないけど。
ブラジルはリオデジャネイロのPlease Come July。この前書いたRestos Fosilesとスプリットを出していたSorry Figureのメンバーを中心に結成。当初はWhite Frogsのメンバーも在籍していて2016年にデビューEPをリリース、ここ2年ほどは音沙汰なかったが、2019年12月に新体制になってから初音源となるRosa Idiotaとのスプリットを発表。Down By Lawっぽいジャケの前作EPと同様に90年代フレーバー香るいぶし銀メロディックパンクをやっている。
AYA
1996年から2000年ごろまで活動していた米国ヒューストンのレーベルAct Your Age RecordsのBandcampを見っけた。最近できたばっかりっぽいね。いまんとこSore LoserとDig Dugのアルバムだけアップされてる(Sore Loserのアルバムのデッドストックまだ残ってるんやな)。
どっちのアルバムもめっちゃ好っきゃ。Sore LoserとDig Dugはメンバーもカブってるし音楽性もおんなじ感じ。両者ともにツインボーカルが特徴のメロディック/ポップパンク。Dig Dugのほうがギターのドライブ感強めで、Sore Loserのほうがボーカルの掛け合いとコーラスワーク重視な印象。
同じAct Your Age ReocrdsリリースでいったらQuick Step Maneuverも好き。そのむかし「Dancing Days Are Over」というレビューサイトで7インチが絶賛されていたのを覚えてる。溢れすぎて困るほどポップセンスを爆発させた名盤。ショボくてもボロくても関係ない、むしろそれがいい。あとに出たアルバムもよかった。そのアルバムがいちおうAct Your Ageのラストリリースなのかな?
Act Your AgeからDig Dugとスプリット7"を出していたMillhouseもいい。ヒューストンと同じテキサス州のサンアントニオのバンド。スプリット収録の"Time Again"という曲はこれぞドライビングポップパンクのお手本といわんばかりの爽快な曲。Act Your AgeからCD(アルバム?)を出す予定やったみたいやけどポシャってもうたっぽいね。
ポシャったでいうたら、Act Your Ageのフライヤーのリリース予定に書いてあった「Yellow #5 CD」も出てないよね?Yellow #5はSore LoserやDig Dugのサンクスリストにも載ってる同郷のバンドで、10年ほど前にMyspaceで曲を聴いたときけっこうビビッときた記憶がある。Millhouseともどももし未発表音源が残ってるならアップしてほしいな。。
あとAct Your Ageリリースではないけど、これ系のサウンドが好きならMalcontentも気に入るかもしれない。ヒューストン都市圏内に位置するレイクジャクソンのバンド。上述のバンドたちと同時期に活動してたみたいやけど、つながりはあったんかな?ないとおかしいくらいサウンドは似てる。なぜかBandcampにはアルバムのうちの5曲しかアップされてない(もともと何曲入りかわからないけど)。2曲目はBadgerみたい。Youtubeで探したら別の曲があった。ほかにもあるなら聴いてみたいな。
はと
アメリカのシアトルで活動するPigeonというバンドのデモを聴いたんやけど、なかなかいい感じ。
ジャケにはクラスティーズな出で立ちのハトのイラストが描かれていて、ハトが着てるベストをよく見ると、CrassやGermsのほかにSnuggle!のパッチが縫いつけられてある。もしかしたらSnuggle!のメンバーがやってるのかもしれない。同じシアトルやし、サウンドも似てるし。
泥臭いしゃがれ声と勢いのあるサウンド、歌詞と相まって切なく響くメロディー。最後にOperation Ivyの曲をカバーしてるけど、この手のイーストベイパンクな音を鳴らすバンドは今や絶滅危惧種なので、このまま続けてくれたらうれしいな〜。
れすとす
もうすでに解散してるRestos Fosilesっていうアルゼンチンのパンクバンドがいるんやけど、ぼくもいくつか音源持ってて、なかでも2002年にリリースされた2ndアルバム『Transparente』は今でもよく聴く。
哀愁混じりの伸びやかメロディーの快活でポップな彩りのサウンド、しかもCruzianメロディックな要素も入ってるとあってこの後期Restosは自分はかなり好き。
Transparente=透明というタイトルが示すように楽曲からはどことなく透明感が感じられ、さらにジャケットもどことなく透けて見えるというか実際にトレペのような半透明の紙が使用されてたり。そんな素敵な作品。
当時このバンドの音源を出していた同じアルゼンチンのレーベルSniffing Recording Industriesから最近Restosの作品がいくつか再発されてるみたいで、1997年にFrost Biteから出た1stアルバムと2001年にSniffingから出たEPが元々CDで出ていたところを2018年にかたやLPかたや7"として初めてアナログ化されて再登場している。
そうなると2ndアルバムもレコードで再発せえへんかなって思ったりもする。
Restos Fosilesは2004年に解散してしまったが、ボーカルのManeさんは2007年から始めたLos Restosという続編的なバンドを現在もやっている。
このバンドも長いこと音沙汰なかったと思うけど最近になってまたアクティブになってきた感じなのかな。
2018年に『Facta Non Verba』、さらについこの間『Facta Non Verba II』っていうEP発表してた。
どくとリィな
さみー。
スペインのアンダルシア地方のセビージャとヘレス・デ・ラ・フロンテーラ(ヘレス)を拠点に活動するDoctrinaというバンドのデビュー作『Alimentar su final』を先日何の気なしに聴いたんだけど、これけっこう好きだった。
調べたらTentáculoやGeneración Basura, Nadsatといったバンドを並行してやっているメンバーによる新プロジェクトということだった。Nadsatは以前の記事で触れたUltrasurfともスプリットを出してるよ。それぞれの音楽性についてごく大雑把に言えば、Tentáculoはロックンロールパンク的、Generación Basuraはハードコアパンク的、Nadsatはポストパンク的といった具合に少しずつスタイルは異なるけどどれもかっこいい。そしてこのDoctrinaではHüsker Düとかの影響が強く感じられるよりメロディックかつポップなサウンドを奏でている。しかもこれまで培ってきたものを土台にこれまた80年代パンク的な雰囲気がたまらない。
Doctrinaの8曲入り音源はメンバー自身が関わっているAndalucía Über Allesをはじめ複数レーベル共同で近いうちにフィジカル(LP)でリリースされるとのこと。
NG/BOD と E/GS
気になったスプリット2作。
まず
今年の初めごろに単独7"およびCookiesとのスプリットテープを立て続けに発表していたフランスはアンジェ/パリのパンクバンドBetter Off Deadが新たな音源をリリース。今度はスペインはムルシアのパンクバンドNueva Generaciónを相手にしたスプリット7"。Nueva Generaciónからしても少し前にMármolと盤面を分かち合ったのに引き続いてのスプリット作品。今回は国境も越えてのナイスな組み合わせ。リリースはBetter Off Deadと同郷のアンジェのレーベルDonnez-Moi Du Feuから。
メンバーチェンジおよび歌詞をフランス語に切り替えて以降のBetter Off Deadはより心に響くというか、不安と愁嘆を喚起させるメロディーのパンクに今作でもまんまとやられたわけで。Nueva Generaciónもこれまで同様に哀愁漂うポストパンクを聴かせてくれる。
次に
2017年に残したフルレングスも良かった(ぼくは未だ盤を買いそびれているけど)ドイツはマイセンのパンクバンドElmarが新たな音源をリリース。ハンブルクのパンクバンドGrüner Starを相手にしたスプリット7"。Grüner Starからしても2018年作のフルレングスに続く音源ということになる。リリースはGrüner Starのアルバムを出していたDian Recordingsから。
Muff PotterやTurbostaatなどが引き合いに出されるタイプのエモーショナルなドイチュパンクのなかでは珍しいElmarのちょっと突き抜けた感じというか、この高揚感を与えてくれる青臭さがやっぱ好き。今回初めて聴いたGrüner Starも似たルーツを持ちつつもっとポストパンクやUSインディー風なサウンドで悪くないけど、ここに収録の2曲よりも前作のアルバムの方が個人的にはグッとくる。