せるふせるふせるふ

先日のLevelheadの記事内でも少し触れたSelfとその関連バンドのいくつかを軽くコメントを添えて視聴先とともに紹介していくコーナー。

 

南米の方ではなくアメリカのサウスカロライナ州の都市の方のコロンビアを拠点に活動していたバンドSelf。セルフ。シンプルで好きな名前だ。1992年頃から1999年まで活動。ぼくが最も思い入れがあるのは1stアルバムの『Codename: Spivey』。というかそれしか持ってなかったし。とにかくよく聴いたな。あと前にも書いたけどサンクスリストがとても参考になったので、そこに載ってるバンドの音源をめっちゃ探したり。自分の手元にあるCDはOff Timeからの再発盤で、何が不満かというと、Three Day Heroからのオリジナル盤にあった歌詞が載っていないこと。

どういうバンドが好きな人にSelfおすすめか。うーん、思い浮かびそうで思い浮かばないような。Face To Faceが引き合いに出されるのをよく見た気がするし、ついさっき見たレビューではさらにGreen DayやZoinks!とかの名前も挙がってた。ちょうどぼくがちゃんと聴いたことのないバンドたちだわ。Face To Faceの1stアルバムもずっと後回しになってる。

ありがたいことにSelfのBandcampには1stアルバムや他のリリース音源が未発表曲も含めてアップされている。疾走感溢れる青臭いメロディック/ポップパンクというイメージだっただけに初期の音源を聴いたらDCハードコア寄りで少し驚いた。でも何より嬉しかったのは2ndアルバムとしてそこに入るはずだった10曲が聴けたことだな。そのうちのいくつかはコンピに収録されていたけど、結局2ndアルバムはリリースされることはなく、その10曲はテープにまとめられて最後のライブで配られたらしい。

 

Sixtensplit(SixTenSplitや6/10 splitという表記も)はSelfのギターボーカルのJohnさん参加のバンド。1998年頃からやってたのかな。ピンボーカルを据えた4人組。Johnさんはギター。Jam RoomというスタジオのエンジニアであるJayさん(Selfのアルバムをプロデュースしている)が、そこで出会った人たちを集めて組んだのが始まりであるらしい。70'sや80'sのポップ/ロックにインスパイアされているとあって、Selfとはまた趣きの異なる渋いメロディックサウンドだけど、Descendents影響下のポップネスというかCruzianなとこも見受けられる。2002年前後にバンドは活動停止、Johnさんは次にDonbravadoというバンドを結成。Sixtensplitは2015年に再結成して何度かライブもしていた。

 

SelfのベースのGarrettさんと同じくドラムのRustyさんがSelf活動中からやっていたバンドInsult To Injury。Garrettさんはベースからギターに持ち替えており、ここでは同じサウスカロライナのAssfactor 4を彷彿とさせるカオティックなハードコアを披露している。Selfとは音楽性がだいぶ違うので意外かもしれないが、GarrettさんがSelfに加入する前にやっていたPremonitionがそもそもカロライナ系のハードコアバンドでAF4とはとても仲が良く頻繁に一緒にライブをしていた。叫びながらテンション高く激走するなかでメロディックでキャッチーなとこもあって非常にかっこいい。AF4好きなら間違いなし。

 

お次のThe Go AheadはGarrettさんとRustyさんがInsult To Injuryの後に組んでいたバンド。The Megameantsのメンバーもいる。短期間のみの活動とのことだが、時期的には2002年前後なのかな?そうなると後述のDade County ResistanceというGarrettさんの別バンドと同時期にやっていたことになる。The Go Aheadに関しては実はつい先日まで存在さえ知らなかったけど、当時未発表だったというアルバムがBandcampに上がってた。1曲目の出だしがLifetimeみたいで驚いたけど、多くの曲で見られる90年代のローカルポップパンクを引きずっているようなクセとショボさが個人的にはとても好き。あとカロライナ周辺のハードコアバンドに通じるカオティックやエモが入った曲もあったりする。メンバーのバンド遍歴とか知らずにこれ聴いたら得体の知れないバンドだと思ってたかも。

 

Garretteさんが2001年に始動させたのがこちらのDade County Resistance。The Go Aheadのメンバー2人の他にGuyana Punch Lineのメンバーも在籍するスリーピース。掴みどころのないThe Go Aheadと比べるとこちらの方はわかりやすく方向性も定まっている。The Get Up KidsやThe Scaries, Alli With An Iなどを思わせる清涼感とやるせなさが同居したようなメロディックパンクで、EPやスプリットを経てフルレングスにて結実するように、パワーポップ/ロックを交えたよりダイナミックで親しみやすいサウンド。このバンドはいつまで活動していたのだろう?以前にも書いたけど、Garrettさんは2008年にLevelheadのメンバーらとLakehurst Is Burningというバンドを結成する。

 

ぼくが知っている限りではこんな感じ。

 

さて、Selfの1998年のインタビューによると、当時Selfは新しいアルバム、それといくつかのバンドによるスプリットCDのリリースを計画していたようだ。前述したように、2ndアルバムは結局は出なかったし、そのスプリットCDもおそらく出てないだろう。インタビューの時点での予定としてはRevolvers, Amish Jihad, 30 Deepなどがそのスプリットに参加することになっていた。

そんな20年も前のインタビューをわざと持ち出し、そこにかこつけて上記3バンドを紹介していくコーナー。

 

1996年から2000年の暮れまで活動していたミズーリ州カンザスシティ(KCMO)のポップパンクバンドRevolvers。昔やっていたディストロで一番初めに入荷して取り扱っていたのがこのバンドの2枚の7インチだったということで思い入れがあったりする(バンド自体はとっくに解散していたが)。トテモナツカシイデス。ぎゅっと胸を締め付けられるような青臭く切ないメロディーのほろ苦いハートブレイクな楽曲の数々。アルバムではカントリータッチも加わり全体を優しさで包み込んだようなより成熟した懐の深いサウンドになっている。

Revolversは2014年から2015年にかけて再結成して数回ライブを行なっている。再結成した理由は旧知の仲であるThe ScariesのMikeさんの結婚パーティーで演奏するため。ちなみにThe Scariesが2009年に来日したときのライブがぼくにとっては最も楽しかったライブのひとつだ。RevolversのギターのMikeさんとベースのChrisさんは2008年よりHipshot Killerというバンドを始動させ現在もやっている。

 

ノースカロライナ州グリーンスボロの30 Deepもまた1990年代中後期にかけて活動していたメロディックパンクバンド。音源を持っていたわけでもなく最近まで曲を聴いたこともなく、ただ名前だけは知っていたという存在なので、今回紹介しているなかでは思い入れが全くない。しかもThirty Seconds Deepというバンドと混同してしまう始末である。すんません。30 DeepはBandcampにリマスターされた音源がアップされていたおかげでようやく聴くことができたのだが、これがなかなかどうしてかっこいい。前出のインタビューにおいてSelfのメンバーから「Fat Recordsタイプのバンドだけど、Fat Recordsのどのバンドよりもずっと良い」と評されている。Dirty Leon's Big Ride Recordsというレーベルからアルバムを出している。このレーベルが例のスプリットCDを出すことになっていたようだ。

 

Amish Jihadノースカロライナ州のチャペルヒルのバンド。元々はUnfound Logicというバンドだったんだけどボーカルが抜けたためインストバンドとしてやっていくことになったそうな。チャペルヒルということでThe Scariesとは同郷。のみならず、ギターのBillさんがスリーピースだったThe Scariesに加入し、その後バンドは飛躍を遂げることになる。本題のAmish Jihadについてはあまり情報がない。前身であるUnfound LogicがDescendents/AllやBig Drill Car直系のごりごりのCruzianメロディックパンクでメタルの影響もあったから、Amish Jihadもその路線のインストナンバーをやっていたと思う。いちおう2004年にアルバムを出しているらしい。視聴先が見当たらないのでUnfound Logicの曲をば。

 

こんな感じで。以上です。