しんねん

J Church "New Year"

今年は去年よりも/よい年でありますように/ぼくは孤独と/縁を切りたいんだ/

ぼくのせいじゃないよ/といっても信念を貫いたことはないけど/チェックイン、いま出発/きみは早めに着いて待っている/ぼくは雑誌はどれも読んでしまった/ラララララ

今年は去年よりも/よい年でありますように/ぼくは孤独と/縁を切りたいんだ/

ぼくの人生を台無しにしようと心に決めた連中がいる/今年はやつらの手口に引っかかるもんか/やつらは笑う、やつらはほほ笑む/避けられないさとやつらは言う/決まったも同然だって/ラララララ

今年は去年よりも/よい年でありますように/ぼくは孤独と/縁を切りたいんだ/

 

新年いうても数字がひとつ増えただけで、なにが変わるでもない毎日やけど、どんどん悪くなる一方のクソみたいな世の中で、ぼくはできるだけ、好きな人たちと好きなことをして、のほほんと生きていきたい。J Churchを聴きながら。

ざ・ビギニングす

マケドニアのNoviot Pochetokが改名してはりましたで。

泣きの哀愁サウンドが持ち味の2002年結成のメロディックパンクバンドは2018年からThe Beginningsという名前で心機一転して活動に励んでいるようだ。

元の「Noviot Pochetok」がマケドニア語で「新たな幕開け / The New Beginning」ということで、「The Beginnings」という名前もそこから来てるのだろう。バンドのアナウンスでは、よりグローバルな広がりを求めて様々な面を考慮した上で、これまでの活動を継続しつつバンドとして新たなページをめくるべく改名へと至ったというような説明がなされていた。

バンドは今年の9月9日にてThe Beginningsへと改名したことを公表し、それと同時に新しいアルバム『I Am Dirt』を発表している。


アルバム名で予想がつくと思うが、英語になったのはバンド名だけじゃなかった。これまではずっとマケドニア語で歌っていたけれど、今作に収録されているのは全て英語の曲。これらは既発曲を英語の曲に作り直し新たに録音したものである。原曲は前作である2015年の4thアルバム『Jas sum zemja』からの曲が大半を占めているのだが、同作がベースになっていることはジャケットのアートワークからも窺える。というかそれでいうと一目瞭然だけど。曲のアレンジはそこまで変わっておらず、それだけに、マケドニア語の語感が与える独特の雰囲気が好きだったのでそこは寂しくもあるが、とはいえ、メランコリックな哀愁感を放ちつつも時に眩しいサウンドとメロディー、英語で歌われても相変わらず良いなと。

新アルバムは現在デジタルのみだが、2019年の春にはフィジカルでのリリースも計画しているようで共同リリースに関わってくれるレーベルを探しているみたいだ。もしレーベルをやっている方で興味があったらThe BeginningsのメンバーがやっているSixtynine Recordsにコンタクトを取ってみては。

The BeginningsのBandcampにはNoviot Pochetok名義で残した4枚のアルバムもまとめられているっすよ。 

べてぃーずらぶちゃいるど

Betty's Love Childの2ndアルバムがYouTubeにアップされてたよ。

Betty’s Love Child(以下BLC)は、90年代にアメリカのカリフォルニア州サンノゼで活動していたバンド。ぼくがBLCのことを知ったのは10年くらい前のこと。See Her Toniteの佐竹さんがやってた「Hey! Grapefruit Moon」というサイトのセカンドハンドで、この2ndアルバム『Love and Other Tragedies』を買ったんよ。名前すら聞いたことなかったけど、商品説明に「Jawbreakerタイプ」みたいなコメントが書いてあって、それが購入の決め手となった(値段も安かったと記憶してる)。そのとき同時に注文したAlgebra Oneの『Earn Your Halo』ともども今でもよく聴くし、どちらもめったに見かけない作品なので、タイミングよくめぐり会えたことに感謝しかない。

とはいえ、初めてこの作品を聴いたときは、なぜかまったくしっくりこなかった。いま考えても理由はわからない。CDを聴き終わったあと戦力外通告の暫定ボックスにそっと置いた。そのあと時間を置いて聴きなおしてみたら、「あれっ、こんなによかったっけ?ていうか、めっちゃいいやん!」となって一気にスタメン入り。あぶないあぶない。下手したら売ってるところだった。こんなことってよくありませんか?

BLCのサウンドはまさにJawbreakerタイプ。たぶんメタルの影響も大きい。パンクバンドが80年代メタルの曲をカバーするコンピにも参加していた。一説によれば、BLCのギターボーカルのRichさんは、Rattという有名なメタルバンドのメンバーからギターの指導を受けていたという。おかげで演奏はうまい。前作の『Angelfish』はイーストベイパンク色が濃いというか、まだ荒削りで疾走感にあふれ、わりと似たりよったりな曲が多い気がするけど、今作では新たにギターが加入して4人組となり、楽曲の幅が広がるとともに、より洗練されたという印象。そしてあいかわらずのBLC節ともいえるメロディーと切り裂くようなギター。歌はおもにラブソングかな。後悔と孤独をともなうような。『Love and Other Tragedies』ってタイトルやもんね。とにかく捨て曲ひとつもない。

4人の力

冷えますなー。今回も懐メロ。

f:id:nezuminofukuro:20181210141813j:plain

ex-Plow Unitedなのにあんまり知名度がない、米国デラウェア州ウィルミントンのバンドPower of IV。Plowのwikiにも情報が載ってない。でもPlowが好きな人が知らなかったらもったいないと思う。1997年にPlowが解散したあと、ドラムのSeanさんがNinja AttakのDanさんやBrendanさんらと結成したのがこのPower of IV。どうやらSeanさんはNinja Attakのメンバーが通う高校の数学の教師だったようだ。おたがいの年齢が近いとはいえ、先生と生徒がバンドを組むなんてめずらしいよね。2002年までの活動期間でアルバムを2枚残してるけど、たぶん2ndアルバムはフィジカルではリリースされてない。Bandcampでどちらも視聴・ダウンロード可能(もうひとつ『4 song Creep EP』ってのもあるけど、これはなに?)。

 

1stアルバム『Walking Distance』は、Ninja AttakとThe Crashのスプリット(なんでわしはこれ売ってもうたんや…)を出していたSuburban Legend Recordsより1999年にリリースされた。基本的にはPlowのスタイルを踏襲したキャッチーながらハードに疾走するサウンド。まんまPlowな曲もある。ただPower of IVはもっとエモーショナルやね。雰囲気的にThe Insurgentにかなり似てる。しゃがれたボーカルの掛けあいと合唱。そこに絡むきらめくギターの妙。突き進む激しさとは裏腹にどこかやるせなさも感じさせるメロディー。パワフルなドラムで始まる1曲目の"Ride On!"を聴くと走りだしたくなるし、3曲目"Porchlight"のイントロを聴くとなぜかMinority Blues Bandを思い出してしまう。叩きつけるようなハードコアの曲あり、郷愁を誘うようなミッドテンポのエモい曲ありで、なかなかメリハリのある内容になってる。

 

2ndアルバム『A Slight Rebellion Off Madison』は、2001年に録音されたものの、おそらくデジタルリリースのみ。何年前か忘れたけど、Power of IVのギター/ボーカルだったDanさんのレーベルMadison Undergroundのサイトからダウンロードして初めて聴いたんだった。で、2曲目の"Meggers"を聴いたときになんか聞き覚えあるなと思ったら、Plowの編集盤CD『The Dustbin Of History』の29曲目に収録されてる曲だと気づいた。この曲は、1998年にPlowが一時的に再結成したときに録音された曲とのこと。Seanさんがつくった曲であり、『The Dustbin Of History』に入ってるバージョンはSeanさんがメインで歌ってるらしい(ギターも弾いてるという)。Plowが本格的に再結成して2013年に出した4thアルバム『Marching Band』にもアレンジを変えて再録されてる。ぼくはこの曲がめっちゃ好きやねん。Plowの曲のなかでいちばん好きかも。飛び跳ねたくなる。Power of IVの2ndアルバムは前作よりサウンドプロダクションが向上して、勢いはちょっと抑えめかもしれないけど、円熟味は増したと思う。ex-Plow Unitedという肩書きなんていらんと言わんばかりに。曲によっては、The Insurgentにくわえ、LattermanやExplosivo!などロングアイランドのメロディックパンクとも共通項というか同時代性を感じさせる。

Power of IV解散後、DanさんはEndless Mike JamboxやTit Patrol、The Headiesなどで活動。Seanさんはいくつかのバンドに参加したあと、2011年にPlow Unitedを再結成。そして去年からオレゴン州ポートランドAbolitionistに加入。 なんか意外だった。てっきりデラウェアペンシルバニア周辺に住んでると思ってたから。でもけっこう前からオレゴンのコミュニティ・カレッジの数学の講師になってたのね。どうせ教えてもらうなら、Seanさんみたいな人に教えてもらったら、ぼくの数学嫌いもまだマシになってたかしら。

わっふるすとんぱあ

Waffle StomperのBandcampがあったので紹介。

Waffle Stomperについては、前にやってた別ブログの記事が残ってたので、それをそのまま載せます(手抜き)。

90年代中期にアメリカのワシントン州周辺で活動していたメロディック/ポップパンクバンドWaffle Stomper。1995年録音の8曲入りアルバムです。ワシントンのHair Hurt Recordsより。Hair Hurtは自身のレーベルかもしれません。2009年末にSnuffy Smilesディストロの中古放出にて本作を購入したのが出会い。説明文に、「Jawbreaker、J Churchタイプ。Navel、Skimmerファンにもオススメ。名盤」なんて書かれたら無視できませんよ。しかも500円でっせ。期待を胸にCDプレイヤーに突っ込むと、これが本当にJawbreaker-ishなサウンドでガッツポーズ。さらに、1曲目のサビでSkimmerやNavelのようなハーモニーを効かせた伸びやかなメロディーが流れてきて、思わずカズダンス。僕の聴いた限り、『Bivouac』期のJawbreakerや『Prophylaxis』期のJ Churchに近い印象。ただし、線の細いボーカルの声質もあってか、渋さよりも青さが勝っている感じ。そこらへんが、Red 40やMy Pal Trigger、Sore Loserなんかと重なります。Whirled Recordsのコンピにも収録されている 6曲目”Berol Giant”もRusty Jamesライクでカッコいい。歌メロでグイグイ引っ張るというよりは、一呼吸置いてじっくり組み立てていくのがWaffle Stomperスタイル。勢いを落とすことを恐れてないというか。この手のバンドにしては曲も長めです。9曲目以降の40曲が3秒くらいの無音トラックという無駄な仕様は、Sickoのアルバムみたいですね。サンクスリストには、Jawbreaker、J Church、Sicko、Face To Faceなど大御所の名も。実際に交流があったかは不明ですが、それらのバンドから大きな影響を受けているのは確か。

そんなWaffle Stomperが、なんと今年、22年ぶりに再結成。Jawbreakerに触発されたんかな?なんか6月にシアトルのデカめの音楽フェスに出てた。来年1月に開催のThe Seattle Pop Punk Festivalにも出演予定。で、最近まで知らなかったけど、もともとはThe Greenってバンド名だったらしい。The Greenは1992年にワシントン州レドモンドで結成され、1995年にWaffle Stomperに改名したんだとか。The Green名義ではカセット2本(デモ?)と7インチ1枚をリリースしてるみたい。それらも気になるな。

あと、どうでもいい話。上の文章で「2009年末にSnuffy Smilesディストロの中古放出にて本作を購入した」って書いてるから、いつやったっけって気になったのだけど、自分の音源入手履歴のメモを見なおしたら、どのライブだったかわかった。フライヤーも残ってた。なつかしい。

f:id:nezuminofukuro:20181206160354j:plain 

ばんどれーろす

Dave Smalley & The Bandolerosのデビューアルバム『Join The Outsiders』がUKのLittle Rocket Recordsよりつい先日リリースされた。

AllやDag Nasty、Down By Lawのシンガーとして知られるDave Smalleyが、3人のスペインの人たちと1人のクレイジーなアルゼンチンの人とともに2017年に結成した5人組のバンド。いちおう活動拠点はスペインなのかな。Dave Smalley関連は個人的にはそこまで追ってきたわけではないけど、ここでギター弾いているMarceloが過去にアルゼンチンでやっていたMXSというバンドがぼくは大好きなので、この人が在籍してるってことでひそかに注目してたというか。また、共に脇を固めるメンバーにはG.A.S. Drummersで活動していた人たちがいるからちょっと期待もあったし。そんな感じでデビューアルバム聴いたらなかなかよかった。Daveがやってたバンドにもかなり影響を受けてきたであろうベテラン勢に当の本人まで参加しているので、やはり往年の面影のあるメロディックで力強いパンクサウンドを聴かせてくれる。なかなか渋い。あとたまにMXSを思い出させてくれたりするのでその辺は私的ポイント。8曲目もたぶんMarceloが歌っている。

 

 

ついでにこちらも。

ふしてふ

The Phoenix Foundation: Once Upon a When

(いち、に、さん、し)

かつて私には夢があった/なんでもできると/そしていつかの頃/いつだったか/自分のなかにある美しいもの/そのひとかけらを味わえたことがあった/でもそれを手放さなきゃいけなかった

いつだったか/勇敢になるべきだと君は言った/そんな平穏だったあの頃が懐かしい/いつだったか/この世界が私を連れ去ることはできなかった/どうあろうとも/今ではその声は繰り返す/そこには何もないと

どうか聞かせてくれ/君の自由の話を/君の情熱の話を/どうか囁いてくれ/まだ見ぬ美しいものを

 

だんだんとThe Phoenix Foundation(以下、TPF)が沁みる季節になってきたな、ということもなく。秋から冬に向かうなかで訪れる静けさや募る寂しさ、その心情に物悲しい旋律が相応しいとしても、春も夏もTPFを聴いてしまっているわいはどないしたらええんですか!いや、こちとら15年TPF追いかけとんじゃ!なめんな!

TPFの7枚目のアルバムに収録されている"Once Upon A When"。愁いをおびた曲は心を空けてくれる。その隙間に自分の感情を注ぐための空虚を残してってくれる。そういう感じがあるようなとこが好きなのかも。それにロマンティックな曲だ。

そんな曲のアコースティックバージョンがある。いちばん上に貼ったやつ。TPFの過去音源から選曲した3曲をアコースティックで再録した7インチが今年ひっそりと出ていたみたいでそこに入ってる。原曲はぼくにとって心の名曲となっているが、アコースティックバージョンも沁みるな。そういう季節になってきたのか。結局。

意味不明な文章あざした!

 

余談だけど、前述のアコースティック7インチにゲストボーカルで参加している方がやっている(Discogs情報)Suudelmatというバンドもかっこいいね。ポップかつ哀愁漂うパンクサウンドに立ちボーカル2人の掛け合い。