ちゅーち?ちょーあーく?

アメリカのピッツバーグの隠れCruzianパンクバンドChoochのBandcampを見つけた。オフィシャルなのかどうかわからん。唯一の単独音源であるカセットEPの曲がダウンロード可能。20年前の音源でっせ。ScariesとかBen Grimあたりが好きな人も聴いてみたら?ちなみにYouTubeにも歌詞付きでアップされてる。

木曜日おめでとう

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このまえ図書館で借りた『タオのプーさん』。ことによると、これは重要な本かもしれない。あくまでぼくにとっては。まあ、重要かどうかはさておき、たのしく読めた。

どんな本かというと、「クマのプーさんをとおしてタオイズムの原理を説明し、タオイズムの原理をとおしてクマのプーさんを解釈する本を書いてやろう」と、まえがきにあるとおり。つまり、そおいう本。ここでいうタオイズムとは老荘思想のこと。老子荘子。あのプーさんとどう結びつくのか。

本書では、著者のベンジャミン・ホフさんが、A・A・ミルン作の『クマのプーさん』や『プー横丁にたった家』のいろんなお話をとおして、作中の登場動物たちとおしゃべりしつつ、ときどき『道徳経』や『荘子』をはじめとする中国の古典などからの引用をはさみながら「タオ」を語ってる。原書の"The Tao of Pooh"の刊行が1982年、日本語版のこの本が出版されたのが1989年。新しい本ではない。

これを読んでタオイズムないし「タオ」を理解できるかどうかはわからない。タオイズムを体系的な思想とみなし、知識のための知識としてアタマに詰めこむことが理解やっていうんなら、この本はあまり役に立たないと思う。ものごとを<こんがらからせる>ことなく、プーのように素朴にたのしく生きる知恵をつかみとるためのヒントなら、もしかしたら見つかるかもしれない。

 

なんていいつつ、これから書くことは知識のための知識になってしまってるかも。でもそれはそれでおもしろかったりする。

『タオのプーさん』のはじめのほうに「酢を味わう者」という絵にまつわる話が出てくる。絵には、大きな酢桶をかこんで立つ3人の男が描かれてる。孔子仏陀老子孔子はすっぱそうな表情、仏陀は苦い顔なのに、老子はほほえみを浮かべてる。どういうことか?こまかいとこをすっとばすと、「ほかのふたりの表情からもわかるように、人生を象徴するその酢はたしかにイタダケナイ味だったにちがいない。けれども(中略)タオイストにいわせれば、酸いも苦いも、ありのままを受け容れようとしないおせっかいな心から出ているのだ。あるがままに理解して役立てれば、人生そのものは甘い。それが『酢を味わう者』のメッセージだ」という。

ところで、この「酢を味わう者」は東洋では古くからよく知られた画題で、「三酸図」や「三聖吸酸(図)」と呼ばれてきたらしい。英語では"The Vinegar Tasters"となる。これはぼくの大好きなJ Churchの前身バンドCringerの3rdデモのタイトルでもある。以下のリンク先で曲を視聴できるので聴いてみて。このサイトは、ハワイパンクシーン創生期の情報をまとめた「Hawaii 70s-80s Punk Museum」というすばらしいサイト。CringerのオリジナルメンバーであるDave Carrさんが運営してる。

Cringer: The Vinegar Tasters

このころはまだGardnerさんがボーカルの時代。アナーコパンクやハードコアなどからの影響が濃いのかもしれないけど、後年のキャッチーなポップパンクサウンドの萌芽もちゃんと感じられる。なんか、1曲目"Ignorant Decision"のイントロのギター、J Churchのラストアルバム『Horror Of Life』の"New Ho Chi Minh City"のそれに似てる気がする。

 

『タオのプーさん』には「カトルストン・パイ」と題された章がある。カトルストン・パイとは、『クマのプーさん』のお話のなかでプーがうたってる歌のひとつ。ちょっと聴いてみよう。


Cringer - Cottleston Pie

Cottleston Cottleston Cottleston Pie,
カトルストン、カトルストン、カトルストン・パイ
A fly can't bird, but a bird can fly.
ハエはとびるが、トビははえない
Ask me a riddle and I reply
なぞなぞ出すなら、ぼく答えたい
Cottleston Cottleston Cottleston Pie.
カトルストン、カトルストン、カトルストン・パイ

Cottleston Cottleston Cottleston Pie,
カトルストン、カトルストン、カトルストン・パイ
A fish can't whistle and neither can I.
魚もぼくも、口笛吹けない
Ask me a riddle and I reply
なぞなぞ出すなら、ぼく答えたい
Cottleston Cottleston Cottleston Pie.
カトルストン、カトルストン、カトルストン・パイ

Cottleston Cottleston Cottleston Pie,
カトルストン、カトルストン、カトルストン・パイ
Why does a chicken? I don't know why.
ヒヨコがどうしてなんて知ったこっちゃない
Ask me a riddle and I reply
なぞなぞ出すなら、ぼく答えたい
Cottleston Cottleston Cottleston Pie.
カトルストン、カトルストン、カトルストン・パイ

あ、しまった。これはCringerの"Cottleston Pie"だった。でも、おんなじことだ。原作でプーがうたってる歌詞そのままだから。お話は文字で書かれてるので、プーがどんなふうにうたってるかはわからない。けど、わからないほうがいいときもある。想像する余地が残されてるし。Cringerは自分たちのメロディーをつけた。

上の日本語訳は、石井桃子さん訳の『クマのプーさん』(岩波少年文庫)じゃなくて、『タオのプーさん』に載ってるほう。もとの英語詞と同じく韻を踏むように工夫して訳してある。

『タオのプーさん』の著者によれば、 このカトルストン・パイの歌で<内なる自然>を説明できるのだという。<内なる自然>とは、人間ひとりひとりを含めたあらゆるものがそれぞれにもつ<あるがままのもの>のこととされる。くわしいことは本文からの引用で済ますと楽ちん。

まず歌の1番について。

「ハエはとびるが、トビははえない」。きわめて単純。はっきりしたもんだ。そうでしょ?なのに、なんとおおぜいのひとが毎日毎日の生活でこの単純な原理に逆らい、四角い木釘を丸い穴にはめこもうとして、<ものごとはあるがままにある>という明白な事実を無視していることか。(中略)自分自身の<内なる自然>を知り、それを尊重すれば、自分のいるべきところがわかる。自分のいるべきでないところもわかる。あるひとにとって栄養になるものが、ほかのひとには毒になることも珍しくないし、ひとによってはめくるめくばかりわくわくすることが、ほかのひとには危険な罠になることだってある。

2番について。

「魚もぼくも、口笛吹けない」。賢明な心から出た、こういう見解のいわんとすることは、「ぼくには一定の限界があり、自分でそれを心得ている」ということだ。そういう心は、それ相応の行動をとる。口笛を吹けなくたってべつに悪いことはない。魚ならなおさらだ。しかし、できるようにつくられていないことをしようと、ガムシャラにがんばると、いろいろ悪いことが起こるかもしれない。(中略)だからといって、変化や向上を止める必要がある、というわけではない。<そこにあるもの>を認める必要があるというだけのことだ。

最後。

「ヒヨコがどうしてなんて知ったこっちゃない」。なぜヒヨコは、ヒヨコがするようなことをするのか?知らないでしょう?ぼくたちだって。知っているひとなんかいない。(中略)重要なのは、ほんとうに知る必要はないということだ。近視眼的科学をまねる必要などない。科学は世界を顕微鏡越しにのぞき、絶対わかりっこない答をさがして、かえって疑問をふやしてしまう。また、不必要な問いを発して無意味な解答を出す、観念的哲学者の役を演じる必要もない。必要なのは、<内なる自然>を認め、<あるがままのもの>とともにやっていくことだ。

 

ところで、Cringer〜J ChurchのLance HahnさんはHoney Bear Recordsという名前でレーベルをやってたくらいだから、やっぱり『クマのプーさん』好きだったのかな。『タオのプーさん』のことは、なんかのインタビューで「すばらしい本だ」と言ってた。

Cringerは『Time for a little something』という7インチを出してる(この記事のいちばん上の写真に写ってるやつ)。タイトルは『Winnie The Pooh』に出てくる言葉から取られてる。石井桃子さん訳の『クマのプーさん』では「なにかひと口やるお時間」と訳されていて、たぶんおやつの時間みたいなもんやと思う。プーがつぼに顔をつっこんでハチミツをむさぼってるジャケのイラストも本の挿絵からパクってる。

また、J Churchの初期の7インチのインナーには、"The forest will always be there and anybody who is friendly with bears can find it"(「森はいつでもそこにあります。そして、クマと仲よしのひとたちなら、だれでもそれを見つけることができるのです」)という文字とともに、クリストファー・ロビンとプーが手をつなぐイラストがちょこっと載ってたりする(よく見たら「© Disney」と小さく印字されてる。ディズニー関連のグッズかなにかから取ったのかな?)。こういうかわいいイラストがあるかと思えば、スペイン革命時のアナキストの写真をアートワークに使ってたりするのが、J Churchのおもしろいところ。

 

さて、『タオのプーさん』を読んだあとは、いままでスルーしてた『クマのプーさん』と『プー横丁にたった家』も図書館で借りて読んだ。おもしろかった。陰気な老ロバ、イーヨーの誕生日の話が好き。

ちなみに、『タオのプーさん』の姉妹本として『タオとコブタ』というのもある。プーの友だちのコブタに焦点が当てられ、「徳」について語られる。といっても、コブタのことはあんまり書かれてない気がする。どちらかというと、著者のベンジャミン・ホフさん自身が前面に出てる感じがして、ちょっと理屈っぽくなってるかもしれない。

れっくすまにんぐデー

オリンピアrex manning day.のデモ音源を聴いてわくわくさせられている。

メンバー各々がこれまでにやってきたバンドや別の現在進行形プロジェクト(ここでは名前書かないけど)を念頭に置いたうえでのぼくの予想はいい意味でうらぎられることとなり、いうなれば90年代スタイルのエモーショナルメロディックパンクをやっていて、これがめっちゃかっこいいときた!今作の5曲目にはGet Up Kidsのカバーが収録されており、それもこのバンドの音楽性を表しているといえる。ともかくぼくが2017年に聴いたデモのなかでベスト!

あにも

先日、海外からの通販でCDを手に入れた。ディストロ以外ではこういうのはかなりひさびさな気がする。今回買ったのはアルゼンチンのバンドAnimoのアルバム。Boom Boom KidがやっているレーベルUgly Recordsから2000年にリリースされた作品。Fun PeopleやBBKと交流のあったと思われるバンドのなかでメロディックやポップパンクのバンドとして紹介されていたので気になっていた。15年以上前の音源だけど折よく手に入れることができた。歌詞カードがついてるのがうれしいね。実はYouTubeにアルバムがフルで上がっているため曲はすでに何度も聴いていたんだけど、やっぱ歌詞も知りたかったから。スペイン語と英語をおりまぜるスタイルなんだけど、このアルバムの大半は英語で歌われている。内容的にはおおっぴらにいえば愛とか生について。そこに一貫としたテーマがあるのかはわからない。ぼくが好きなのは、悲嘆したくなるような現状においてもよりよい世界で生きたいという自らの思いに対してはシニカルになっていないというか希望をもっている感じがあるとこかな。そして何より曲自体がとっても好き。でも全曲じゃない。全曲じゃないけどいくつかの曲はほんとぼくの好みドまんなか。胸をしめつける伸びやかなメロディーに絶妙なポップ感。

 

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ばるぼあ

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ドイツのメロディックパンクバンドBalboa Burnoutのラスト作。おそらく解散前のライブとかで配られてたりしてたものだと思うけど、ぼくはこのバンドの別の音源をディストロしていたこともあって、ありがたいことにメンバーがこのCDを送ってくれたんだよね。それでひさびさに聴いたら良かった。Bandcampでもダウンロードできる。ちなみにメンバーは現在Drunk Motorcycle Boyってバンドやってる。

https://balboaburnout.bandcamp.com/

てきさすくろっくたわーおーけすとら

秋の到来をこばむかのように鳴く蝉の声、はれたら日中はまだ気温が30度近くまであがるも、夕晩のすずしさがここちよい今日このごろ、「あー夏も終わったなー」なんて思いながらBen Grimの“The Summer's Really Over”を聴いたりなんかして。そんな90年代中後期にかつどうしていたメロディック/ポップパンクバンドがぼくはとても好きで、聴くたびに「いつ聴いてもさいこう」なんて思ってる。まいにち聴きまくってさすがに飽きたこともあるけどね。

ところで、Texas Clocktower Orchestraというバンドをきのう見つけたんだけど、Bandcampにて曲を聴いてみたらば、いわゆるCruzianなポップ/メロディックパンクが飛び出してきてびっくりした。ぼくがこの手のスタイルの音楽が好きなので、こんなバンドがまだいたのかという驚きもあるけど、なんとBen Grimと同郷のアメリカのウィスコンシン州のニーナというところのバンドで、しかもかつどうしていた時期も同じだった。どちらもDescendents/AllやBig Drill Carあたりのえいきょうを受けたサウンドを鳴らしているわけで。ここまで共通点のようなものがあるのに、なぜいまのいままでこのTexas Clocktower Orchestraという名前をいちども目にしたことがなかったのだろうか。バンド名自体もすごく目につきやすそうなのに。

そんなTCO(バンド名長いから略す)は音源を3枚残しているようだ。EP2枚にアルバム1枚と、調べたらいちおうぜんぶCDでのリリースとのことだけど自主で出してたのかな。Bandcampにて3枚とも聴ける。サンクスリストみたいなのにBen Grimの名前も載ってる。つまり両バンドは交流があったわけだけど、TCOに関してはほんまに聞いたことがなかった。それはそれとして、このTCOなかなかいい。一連のCruzianなバンドが好きな人は好きだと思う。

Texas Clocktower Orchestra: Bandcamp

10ふぃーととーる

「Big Drill Carを彷彿させるイントロでその筋の人々をニヤツかせる」でお馴染みのTEN FEET TALLの7"をこの前久々に聴いた。

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旧CHEERSサイトとWaterslideの怪盤紹介で知って手に入れたのがもう何年前のことだか忘れた。リリースは1992年なのかな。ジャケも内容もぼくの心をくすぐる。隠れたCruzianポップパンク。そんなTEN FEET TALLについては他の音源やら情報やらけっこう探したこともあったけど全然出てこなかったな。かろうじてわかったのはTEN FEET TALLの前にはDirect Actionを後にはDavenportというバンドをやっていたことくらいだった。

そしてついこの前、Direct Actionの最後の音源である1990年のデモが2016年にヴァイナル化されてリリースされていることを知った。ありがたいことにBandcampでストリーミング・ダウンロードできる。フィジカルコピーも買えるのかな。あとのTEN FEET TALLも含めて考えると、よりメロディックに移行していく過程にあったような感じ。けっこう好き。こんな話題に食いつく人がいるのかどうかわからないけど。

Direct Action: Bandcamp