もれなくシブいやつ?

今月に入るまで数ヶ月間ブログを更新していなかったけど、どっかのタイミングで紹介できたらなーと密かに思ってたいくつかのバンドとその音源についてしたためた何の変哲もない駄文章を然るべき試聴先とともにお送りすることにする。

今回は2019年に発表された渋めのメロディックなパンク作品を5つほど。

いつもどおり自分が好きな感じのやつを取り上げているだけだけど、まぁ自分の他にもこういうの好きな人いるんじゃないかなぁというかたぶんいるだろうと思って書いた次第でございます。

 

 

Nadir - Collecting Misery
アメリカはニューヨークのバンド。Off With Their HeadsのRobbieさんによるプロジェクト。このアルバムがデビュー音源になると思われるが、なんかもう全方位から不安や絶望感が漂ってくる。だって墓地の広がる白黒写真が配されたジャケットに『Collecting Misery』(悲惨収集)と題されたアルバムの1曲目が"Doomed From The Start"(はじめから終わっていた)なのだから。そもそもNadir(どん底)ってバンド名だし。歌詞もきっと暗い内容だろう。サウンドはBanner Pilotがスピードを落としてJawbreakerやPegboyに接近したような感じ。派手さはないけど、きっちりツボを押さえ、メロディーの良さで聴かせる。8曲入りでそのうち2曲がアコースティックってのはちと物足りなくも感じるが、最初と最後に良い曲を持ってきている点は個人的に好評価。本作はLPでリリースされている。

 

Tror du det blir krig? - Ikke natt, ikke dag
ノルウェートロンハイムのバンド。Dumhetens Hærというデス/スラッシュメタル/ハードコアのバンドが2015年に活動休止を決めたときに構想されたグループとある。このTror du det blir krig?ではうってかわってメロディックサウンドを鳴らしており、バイオグラフィーにも「LeatherfaceやDinosaur Jr.に代表される80年代と90年代のオルタナティブなロックを土台としたノイジーでメランコリックなポップミュージックを演奏している」的なことが書かれている。バンド名はノルウェー語で、和訳すれば「(今後)戦争があると思う?」という意味になるのかな。歌詞も同じくノルウェー語で歌われる。今作は昨年発表された1st EPに続く2nd EP。本作はフィジカルでのリリースはないと思われる。

 

Tag/Ohne/Schatten - Ein besserer Ort
ドイツはハノーファーのバンド。その名は同じドイツのパンクバンドRazziaのアルバムタイトルに由来する。後にメロディックパンクと呼ばれるような音楽を80年代のドイツにおいていち早くやっていたNeurotic Arseholesのメンバーと90年代のスケートパンクバンドPressure Flipのメンバーが在籍。Pressure Flipの関連バンドであるRaum 101やSpringhillは好きだったな。今作は2014年のデモ音源以来のリリースとなる。デモに入っていた2曲も再録されて収録の全8曲。英米のバンドにインスパイアされたメロディックパンク/ハードコアをドイツ語でやっていて、曲によってはHüsker DüやFarsideにLeatherfaceといったバンドを彷彿させる部分があったりなかったり。ドイツのバンドらしい暗さもある。本作はCDでリリースされている。

 

La Reaccion - Nada Será Igual
チリはサンティアゴのバンド。90年代から活動していたメロディック/スケートパンクバンド608-Zのメンバーによって2017年に結成された。La Reaccionは608-Zのギターボーカルの一人であったMacarenaさんが同じくギターボーカルを務めており、前身バンドからのスタイルを引き継ぎつつ、2作目となるこのEPではさらに哀愁感の増したメロディックパンクを奏でている。アルゼンチンのEterna Inocencia辺りにも通じるところがあるのでその手の南米メロディックパンクが好きな人にもおすすめかと思う。本作はCDでリリースされている。

 

Punch Drunk - Sassy
イングランドノッティンガムのバンド。ギターボーカルを務めるGramさんは、過去にやっていたエモバンドCape Canaveralが2006年に終わりを迎えたときにそれっきり二度とバンドをやるつもりがなかったが、10年の歳月を経て再び曲を書きはじめ、そして友人たちと結成したこのPunch Drunkでまたバンドを始めることになった。本作がデビューアルバムとなる。前身バンドからの持ち越しでCristie Front DriveやMineralといったエモの影響もあるだろうけど、根幹をなすのはHüsker DüやJawbreaker直系のいぶし銀のメロディックパンク。猫ジャケというのも見逃せないポイントかもしれない。本作はCDがJSNTGMから、カセットテープがDisillusionedとEngineerの共同でリリースされている。