いんきゃりこ

アメリカはインディアナポリスのメロディックパンクバンドInCalicoの新曲。

この曲がThe Atarisとの対バンの日である6/19にドロップしたニューシングルということね。InCalicoはThe Atarisの創始メンバーのひとりがやっているバンドなんだけど、その日の地元でのライブにおける共演は関係者にとって感慨深いものだったのだろうか。新曲"Ego of the Carpenter"は活動再開後では初めての新音源。デジタルオンリーリリースとなっており各種音楽配信サービスにて聴ける。

あと2015年作のフルレングスもRadio Cake Recordsから再発されている。

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ばざーず

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BOTHERSレコード出しとったんかワレ!

心体ヒリつかせる闇の濁流みたいな楽曲。ブチギレ咆哮。焦げるな〜こりゃ。

USポートランドを拠点にするパンクバンドBOTHERSのフルレングス。

さすがってな感じのDirt Cult Recordsから。

骨嵐と不従順と涙と怒

最近チェックして気になったバンド。イベリア半島に位置するスペインの各地域で活動しているパンク/ハードコアのバンド。

 

カタルーニャの街ビックのナードコアバンドBonestorm。結成は2013年頃。HHHからの影響が窺えるファストハードコアぶり、むしろHHHの別バンドのROUSEなのではと思えるメロディック志向、というか近頃はなんとなくイーストベイ周辺の雰囲気もあったりな怪しいポップパンク。2019年の最新作は同地方のスラッシュバンドBon BraguerとのスプリットLP。ジャケットの絵をよく見たらCRIMのTシャツ着てる人がいるね。両バンドともにCRIM同様に母語であるカタルーニャ語で歌っている。

 

バスクの街サラウツのパンクバンドMänägäitz。結成は2011年。アグレッシブに畳み掛けるように疾走するハードコアパンクに叙情的なメロディーが絡んできて、バスク語で歌われるデュアルボーカルの掛け合いもめちゃくちゃ熱い。2015年に出した9曲入りCD(そのうち4曲は2014年に7インチでリリース)から久々の音源となる2019年の最新作は同地方のパンクバンドFly ShitとのスプリットLP。こちらも前作が好きだった人は間違いないと思われる。

 

マドリードのアナーコパンクバンドLágrimas y Rabia。結成は1989年。速い曲ばかりではないが、ドタドタと前のめりに性急なスピードで突進するサウンドを持ち味に、所謂スペイン語であるカスティーリャ語で歌うメロディックパンク/ハードコア。そのスタイル、歌詞や姿勢も含めて後続に影響を与えてきたようだ。2010年に一度活動を停止、2016年に新編成で復活してから初の音源となる2019年の最新作は4曲入りの単独7インチ。健在な高速パートに円熟した哀愁味。レコーディングを担当したのはACCIDENTEのメンバーなのかな、たぶん。

ひとまわり

Caught myself daydreaming shedding life like so much dead skin. Clouds are thick that smother you. So I listen to J Church in my room.

気づいたら白昼夢を見ていた。大量の垢のごとく剥がれ落ちる人生。どんよりした雲に息が詰まりそうだからぼくは部屋でJチャーチを聴く。

 

ってなわけで、今夜のJ Churchはなにがいいかな?よし、キャットフードにしよう!

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いっただきま〜す!う〜ん、やっぱりキャットフードはおいしいな〜。

とくに"All Girl Band"がめっちゃ好き!あっさりしてるからいくらでも食べれる。

Maybe I was a pathetic fan
ぼくはイタいファンだったかもしれない
You don't care and I can live with that
きみたちが気にしてないならそれでいいんだ
I just wanted you to understand
わかってほしかっただけだから
They can never taint you in my eyes
あいつらにきみたちを貶めることなんてできないと思うよ

サビの最後の一節はThe Smithsの"Paint a Vulgar Picture"っていう曲の歌詞からそのままパクったんかな?ランスさんはパクるのがうまかった。ぼくの心も返してほしい。もう12年か。一度でいいから会いたかった。あなたの音楽を愛してるぜ。

 

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むびたげ

2019年だというのにMoving Targetsの新作アルバムが聴けるよろこび。秋が似合うよこのバンドは。

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アメリカはボストンのパンクバンドMoving Targets。1982年に結成され、何度か解散と再開をくりかえしながら4枚のアルバムをリリースし、1993年に活動を停止する(そのあともたまにライブはしていた模様)。残念ながら2008年と2009年に、ベーシストのPat LeonardさんとドラマーのPat Bradyさんが相次いで亡くなり、オリジナルメンバーはギターボーカルのKen Chambersさんだけとなってしまった。ところが昨年、ひょんなことから新メンバーをむかえ、Moving Targetsは本格的に再始動し、ヨーロッパツアーを敢行。そして先月、前作から25年ぶりとなる5枚目のアルバム『Wires』をリリース。CDはWaterslide、LPはBoss Tuneageから。

ぼくが初めて手にしたMoving Targetsの音源は3rdアルバムの『Fall』だった。今はなきBASE京都店に中古LPがあったんよ。当時のぼくはハイパーイナフ大学で集中講義を受けており、ちょうどこのバンドが紹介されていたこともあって、見つけたときはめっちゃうれしかった。そのLPはもう手元になく、いつしかCDに買いかえたけど。それはいいとして。講義で学長が忠告してたっけ。「下手な若人が手を出すとその後の人生を狂わされてまうぞ」って。ぼくは絵に描いたような下手な若人だったので、その後の人生をまんまと狂わされた。"Only Life Of Fun"や"Fumble"なんかを聴かされた日にゃあ、もう後戻りできない。おかげでこの手のメロディックパンクをつねに摂取せずにはいられない身体になってしまった。どうしてくれんねん!そうじゃなかったらチャゲアスを聴いてハイになるような人生やったかもしれんのに。。

縦横無尽に疾走し、変幻自在に脈動する、力強さと繊細さを兼ね備えた安定感抜群のドラム。幻惑的なステップを踏みながら、ときに優しく、ときに怪しく、意識の深みへ手招きするベース。砂まじりの冷たい風を起こし、たまりかねて孤独な咆哮をあげては、寂しさだけを残して虚空に消えるギター。叙情的でありつつも抑制の効いた、どこか温かみのあるボーカル。儚いメロディー、切ない歌。ぼくにとってMoving Targetsは、乗客の憂鬱や自己嫌悪などの負の感情を動力源にして、ここではない世界の旅に連れていってくれる列車みたいなもん。Taang! Recordsが敷いたどの路線(アルバム)も甲乙つけがたいけど、"Less Than Gravity"にさしかかるときに見える景色がいちばん好きかもしれん。ひとつ不満を挙げるとしたら、ガイドブック(歌詞カード)がないことかな。だれかMoving Targetsの歌詞を知ってる人いませんか?検索しても出てこない。。

あっそうそう、新作アルバム『Wires』はどやねんって話。25年ぶりって聞くと不安になるよね。でも1曲目の"Fear Of God"を聴いたらそんなもんはふっとんだ。これぞMoving Targets!この憂いを帯びたギターとメロディー!ボーカルの声ほとんど変わってないんちゃう?ほかにもまるでタイムカプセルから取り出してきたかのような曲がある。それもあながち間違いじゃなくて、じつは93年のMoving Targets解散後にKenさんが活動してきたいくつかのバンドでやっていた曲もけっこう再録されてたりして、なかには20年近く前から存在する曲もあるみたい。でも結局、どれもこれもMoving Targetsでしかないと思わせる楽曲に仕上がってるんやから、そんなことはどうでもええっすな。もちろんTaang!時代のアルバムと聴き比べると変わったなと感じる部分もある。まあ、それまでだって作品や曲ごとにそれぞれ色があったわけやけど。今作はサウンドの目鼻立ちがハッキリして、全体的にまろやかになった印象。以前のほうがギターの音色は湿っていたかもね。でも何度もくりかえし聴いてると、この塩梅が耳になじんでくるから不思議。あと、インナーに歌詞が載ってる。これはでかい。これで歌えるぜ。お気に入りは"Moment Of Silence"。こういう曲になると耳というより鼻が反応し、新鮮な空気で肺が満たされるような心持ちになる。最高や。下手な若人もこのアルバムに手を出してみては?大丈夫、こわくないから。

ところで昨年、Moving Targetsでいつか日本ツアーをしたいとKenさんが言っていたという話を耳にした。まだその気持ちはあるんかな。新しいアルバムも出したことやし、そのまま勢いあまって来てくれたらうれしいのに。メンバーがこの記事を見つけてモチベ爆上がり、なんてことはないか。。

 

最後に関連作品をひとつ。

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Moving Targetsの活動休止後にリズム隊だった二人のPatさんがやってたLennyというバンドの『Please, Oh Please』というアルバム。1997年にRockfetishというレーベルからリリースされたもの。こちらではPat Leonardさんがベースをギターにもちかえ、ボーカルと作曲も担当している。LennyはLeonardという人名の短縮形もしくは愛称やね。Pat Bradyさんのドラミングはところどころで往年のMoving Targetsを彷彿とさせるし、Moving Targetsを意識して作ったような曲もいくつかある。全体的な雰囲気はむしろ後期Hüsker Düあたりに近いんかな。Lennyさんのボーカルは粘っこくて神経質な感じがする。そのおかげでメロディーが気だるかったりニヒリスティックに聞こえる。悪くはないんやけど、Moving Targetsと比べるとちょっと分が悪いかもね。

このごろチェックしたもの

この頃チェックしたり聴いたりして個人的に気になった音源のいくつか。

Heksa - Cenizas
Scruff Myers' Superhands - S/T
Sad Girlz Club - Hard Feelings
Ultrasurf - Ideas Vacías
Telecult - Phases
Stages In Faith - Delside
State Drugs - Takings & Leavings
LIFEWENTPEAR - About About
Servet - s/t
Short Straw Fate - 2nd album sampler
semi - turnover
 

スペインのマドリードで活動するフェミニスト・パンクバンドHeksaが2作目のアルバムを2019年9月に発表している。ノルウェーのLucky Maliceのメンバーも在籍する4人組が放つ、Post RegimentやThe Assassinatorsおよび同じ街のAccidenteなどを彷彿とさせる哀愁感と疾走感に溢れたサウンドにメッセージを乗せたパンク。The Adictsを脱退して久しい元LovejunkのギターボーカルのScruffさんが帰ってきた。Scruff Myers' Superhandsという自身のプロジェクトを同じく元The Adictsである兄のMelさんらとともにすでに開始しており、先月めでたくデビューアルバムをリリース。2曲聴いただけだが、より円熟味を増したオルタナロックサウンドにLovejunk時代と変わらない歌声とメロディーに興奮。アメリカはサクラメントのポップパンクバンドSad Girlz Clubは今年2月にBomb Pop Recordsより1stアルバムをリリースしている。デュアルボーカル擁したキャッチーで力強いサウンドが胸を打つ切なさだけでなくどこか清々しさを残していく。MasshysteriやRed Donsの流れを汲む陰鬱なメロディーのソリッドで疾走感のある哀愁パンクを奏でるスペイン北西のア・コルーニャUltrasurfが夏の終わり頃に2nd LPを出した模様。去年からずっと出ると言われていたパリのTelecultの1stアルバムがBandcampで全曲公開されている。当初LPでリリース予定だったけど現状フィジカル音源はないのかな。これまたRed DonsやMarked Men辺りの影響を感じさせるポストパンクやガレージなどが入ったメランコリックなパンクサウンド。これまでに出した2枚のEPですでに注目を集めているUKのStages In Faithによるデビューアルバムが9月末にリリースされた。最も影響を受けたというFarsideやDag Nastyにレボリューションサマー期のバンドを感じさせるポストハードコア/メロディックパンクでとてもかっこいい。2019年の2月にJigsaw RecordsからCDで出されたアメリカのデンバーを拠点とするState Drugsの編集盤(3枚のEPと未発表曲収録)がSnappy Little NumbersとToxic Pop Recordsの共同により今度はLPで登場。カレッジラジオの時代のパンク/インディーロックを現代的にフレッシュに描き出した楽曲のなかの激渋哀愁メロディック的な質が好み。ドイツのラインラント地方のパンクバンドLIFEWENTPEARの1stアルバムがもうそろそろリリースされるのかな。デモで聴かせたLeatherfaceからの影響明らかなしゃがれ声メロディックパンクがアルバムではどんなふうに仕上がっているのか。Noamから改名したスペインのオビエド発のパンクバンドServetも初のフルレングスを近いうちにリリースすると思われる。Cruz経由ポップパンク〜エモーショナルメロディックの90年代USバンドみたいなサウンドスペイン語でやってて渋い。東京の4人組メロディックパンクバンドShort Straw Fateもまた来たるべき2ndアルバムから2曲を聴けるようにしてる。キラキラした青いエモーション、恥ずかしいほどに泣けるメロディーなのにシンガロング誘発してくる。楽しみ。そんで今現在個人的に最も気になっているリリースといえば鳥取で活動するサッドメロディックバンドsemiの待望の1stフルアルバム。